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メモ:2016年9月14日発表の甲状腺検査結果の数字の整理

2016年9月14日に開催された第24回県民健康調査検討委員会で発表された、甲状腺検査結果の数字をメモ的に整理した。データは2016年6月30日時点のものである。1巡目結果は、前回の2016年6月6日開催の第23回県民健康調査検討委員会で公表された追補版に掲載されているデータであるが、前回のメモから変化はない。2巡目結果は、まだ二次検査の進捗率が66.6%であり、確定版ではない。2016年5月1日から開始された3巡目結果によると、まだ一次検査受診者の結果で確定しているものはない。また、2巡目で悪性ないし悪性疑いとされた59人の先行検査結果についても、簡単にまとめた。

先行検査(1巡目)
悪性ないし悪性疑い 116人
手術症例      102人(前回から変化なし)(良性結節 1人と、甲状腺がん 101人:乳頭がん100人、低分化がん1人)
手術待ち       14人

本格検査(2巡目)
悪性ないし悪性疑い 59人(前回から2人増)
手術症例      34人(前回から4人増)(甲状腺がん 34人:乳頭がん 33人、その他の甲状腺がん**1人)
手術待ち      25人

合計
悪性ないし悪性疑い 175人(良性結節を除くと174人
手術症例      136人(良性結節 1人と、甲状腺がん 135人:乳頭がん 133人、低分化がん 1人、その他の甲状腺がん**1人)
手術待ち        39人

(**「その他の甲状腺がん」とは、2015年11月に出版された甲状腺癌取り扱い規約第7版内で、「その他の甲状腺がん」と分類されている甲状腺がんのひとつであり、福島県立医科大学の大津留氏の検討委員会中の発言によると、低分化がんでも未分化がんでもなく、分化がんではあり、放射線の影響が考えられるタイプの甲状腺がんではない、とのこと。)

***

本格検査で悪性ないし悪性疑いと診断された59人の先行検査結果
A1判定:28人(エコー検査で何も見つからなかった)
A2判定:26人(結節 7人、のう胞 19人)
B判定: 5人(先行検査では最低2人が細胞診をしている)

和訳と考察 長崎大学&ベラルーシ研究発表「放射線と甲状腺がんリスク:福島とチェルノブイリ」

The Lancet: Diabetes and Endocrinology (「ランセット:糖尿病と内分泌学」)2016年8月号に、長崎大学(高村昇、折田真紀子、ウラジミール・サエンコ、山下俊一、長瀧重信)とベラルーシ(ユーリ・デミチク)の共同研究が、コレスポンデンスとして掲載された。これは、2016年8月4日に福島民報に掲載された記事で言及されている論文だと思われる。以下は非公式和訳である。



放射線と甲状腺がんリスク:福島とチェルノブイリ
ウクライナのチェルノブイリ原子力発電所事故から30年、そして福島第一原子力発電所での危機から5年が過ぎた。チェルノブイリ災害後、ベラルーシ、ロシアとウクライナにおいて、事故時に放出された放射性ヨウ素に被ばくした小児と思春期の青年らの間で甲状腺がんのかなりの増加が報告された。このチェルノブイリでの経験に基づいて、福島県民健康調査の枠組み内で甲状腺超音波検査が行われている。この検査は福島事故当時18歳未満(原文ママ:実際には事故当時18歳「以下」)だった住民すべて(およそ36万人)が対象である。2011年10月から2014年3月に実施されたスクリーニングの1巡目では、受診者 300,476人中113人が、甲状腺悪性腫瘍確定または疑いとされた。
福島事故後の甲状腺がんの発見は、現代的で精度の高い超音波技術によるスクリーニングの影響かもしれない。この問題を調査するために、福島での放射線被ばくと甲状腺がんの間の因果関係は、特にチェルノブイリからの既存の証拠に対して注意深く評価されるべきである。
チェルノブイリでは、被ばくした小児の甲状腺被ばく線量平均値は、ベラルーシで 560 mSv[SD 1180]、ウクライナで 770 mSv[260]と推計された。一方、事故後に福島の1000人以上の 0〜14歳の小児の 99%で報告された甲状腺被ばく線量は、15 mSv未満だった。これらの低いレベルでは、福島での被ばく線量が、被ばくの可能性から 4年以内に検出可能な甲状腺がんの過剰例を起こした可能性は低い。
もうひとつの考慮すべき重要点は、2つの事故後の患者の年齢である。ベラルーシでは、事故前に設置されたがん登録によると、事故後最初の4年間(1986〜1989年)に被ばく時に0〜15歳だった患者で25例の甲状腺がんの手術例が報告された。この数字は、199…

メモ:2016年6月6日発表の甲状腺検査結果の数字の整理および関連情報

2016年6月6日に開催された第23回県民健康調査検討委員会で発表された、甲状腺検査結果の数字をメモ的に整理した。データは2016年3月31日時点のものである。また、本格検査で悪性ないし悪性疑いとされた57人の先行検査結果についても、簡単にまとめた。

今回、先行検査結果の追補版(平成27年度)が出され、2015年8月の確定版以降の追加データが公表された。(悪性ないし悪性疑いは、前回のメモですでに追加データが反映されている。)先行検査の二次検査受診者2128人中、結果が確定していない人が42人いるが、追加結果はまた追補版で報告されるらしい。二次検査未受診者168人に関しては、そのうち60人が本格検査で二次検査を受診しているとのこと。追補版では、確定版で低分化がんと確定診断された3人中、平成23年度と平成24年度からそれぞれ1人ずつが、乳頭がんと再診断されている。これは、2015年11月に出版された「甲状腺癌取扱い規約 第7版」での低分化がん診断基準の変化によるものであると説明された。第7版の変更内容の概論は、2016年5月末に開催された第35回日本乳腺甲状腺超音波医学会学術集会の予稿集で閲覧できる。

本格検査(資料はこちら)では初めて、事故当時5歳男性が悪性ないし悪性疑いとされた。この症例の詳細は公表されなかったが、細胞診結果と市町村別二次検査実施状況から、いわき市の男児と思われる。平成27年度実施対象市町村の受診者の4割を占めるいわき市の二次検査は、対象者322人の105人しか受診しておらず、そのうち74人で結果が確定している。つまり、二次検査対象者の4分の1でしか結果がわかっていない。(ちなみに、2011年3月末に行われた小児甲状腺被ばく調査「1080人調査」で甲状腺被ばく線量が最大だったのは、いわき市の137人(0〜14歳)の1人だった。この調査の経緯を記録した資料はこちら。)

検討委員会はこれまで、福島県で事故当時5歳以下の症例がないことを、放射線影響でないという理由のひとつとして挙げてきた。しかし、検討委員会の前委員長の山下俊一氏と甲状腺検査の臨床部門責任者の鈴木眞一氏が共著者に名を連ね、2014年10月に米国甲状腺学会の学術誌”Thyroid”に投稿されたエディターへのレター(和訳はこちら)では、ウクライナで事故当時5歳以下での甲状腺がんが増え始めたのは、事故…

メモ:2016年2月15日発表の甲状腺検査結果の数字の整理

2016年2月15日に開催された第22回県民健康調査検討委員会で発表された、甲状腺検査結果の数字をメモ的に整理した。数字は、2015年12月31日時点のものである。また、本格検査で悪性ないし悪性疑いとされた51人の先行検査結果についても、簡単にまとめた。

先行検査は前回で確定版となっているので、今回は検査結果の紙面報告なし。次回の検討委員会で追補版を出すとのこと。本格検査の資料はこちら

先行検査(一巡目)
悪性ないし悪性疑い 116人(前回から1人増)
手術症例      101人(前回から変化なし)(良性結節 1人と、甲状腺がん 100人:乳頭がん97人、低分化がん3人)
手術待ち       15人

本格検査(二巡目)
悪性ないし悪性疑い 51人(前回から12人増)
手術症例      16人(前回から1人増)(甲状腺がん 16人:乳頭がん 16人)
手術待ち      35人

合計
悪性ないし悪性疑い 167人(良性結節を除くと166人で、この数字がよく報道されている)
手術症例      117人(良性結節 1人と、甲状腺がん 116人:乳頭がん 113人、低分化がん 3人)
手術待ち        50人

***

本格検査で悪性ないし悪性疑いと診断された51人の先行検査結果
A1判定:25人(エコー検査で何も見つからなかった)
A2判定:22人(結節 7人、のう胞 15人)
B判定: 4人(先行検査では2人が細胞診をしている)




メモ:2015年11月30日発表の甲状腺検査結果の数字の整理

2015年11月30日に開催された第21回県民健康調査検討委員会で発表された、甲状腺検査結果の数字が混乱して分かりにくいので、メモ的に整理した。数字は、2015年9月30日時点のものである。また、清水一雄氏が確認を取られていた、本格検査で悪性ないし悪性疑いとされた39人の先行検査結果についても、簡単にまとめた。

先行検査は前回で確定版となっているので、今回は検査結果の紙面報告なし。本格検査の資料はこちら

先行検査(一巡目)
悪性ないし悪性疑い 114人(前回から1人増)
手術症例      101人(前回から2人増)(良性結節 1人と、甲状腺がん 100人:乳頭がん97人、低分化がん3人)
手術待ち       13人

本格検査(二巡目)
悪性ないし悪性疑い 39人(前回から14人増)
手術症例      15人(前回から9人増)(甲状腺がん 15人:乳頭がん 15人)
手術待ち      24人

合計
悪性ないし悪性疑い 153人(良性結節を除くと152人で、この数字がよく報道されている)
手術症例      116人(良性結節 1人と、甲状腺がん 115人:乳頭がん 112人、低分化がん 3人)
手術待ち        37人

***

本格検査で悪性ないし悪性疑いと診断された39人の先行検査結果
A1判定:19人(エコー検査で何も見つからなかった)
A2判定:18人(結節 5人、のう胞 13人)
B判定: 2人(先行検査では細胞診をしていない)

A1判定だった19人と、A2判定でのう胞が見つかった13人の合計32人では、先行検査以降、先行検査で見つかっていなかった(あるいは、見落とされた)病変が発生し、がんとして見つかったと思われる。これは、甲状腺外科医の清水一雄氏が大津留晶氏に確認を取られていた。動画の25分12秒くらいから、一部大雑把に書き起こした。



清水一雄氏:被災前に発生した甲状腺がんなのか被災後なのかを判別する唯一のデータかもしれないが、A1の19人とA2の18人は、エコーで何も見つからなかった所から発生したのか、それとも元々あったのを見逃したのか?

大津留氏:B判定の2人に関しては、solidな(充実性の)結節があって、(先行検査との)間に時間があるので100%そうとは言えないかもしれないけど、位置的にもそこから出たのだろうと推測している。A1は所見がないので、何もなかった所から発生した…

岡山大学チーム原著論文に対する指摘・批判への、津田敏秀氏による回答集その2

以下は、岡山大学チームによる『Epidemiology』誌掲載の原著論文「Thyroid Cancer Detection by Ultrasound Among Residents Ages 18 Years and Younger in Fukushima, Japan: 2011 to 2014 」(日本語タイトル:2011年から2014年の間に福島県の18歳以下の県民から超音波エコーにより検出された甲状腺がん)に関して、津田氏に寄せられた批判や意見と、それに対する津田氏の回答集その2である。回答集その1はこちらである。文中にもあるように、この論文に対する回答集は、今回の回答集その2をもって終了となる。なお掲載にあたっては、津田氏の許可を得ている。

論文へのリンクはこちら
この回答集のPDFは、以下に埋め込んであるが、こちらからダウンロード可能。
論文発表時の記者会見関連記事はこちら






2015年10月30日                          津田 敏秀

 前回、下記のような回答を出させていただいた理由は、私どもが論文を出した弊害が明らかに出てきたからです。

「岡山大学チーム原著論文に対する医師らの指摘・批判への、津田敏秀氏による回答集」
http://fukushimavoice2.blogspot.com/2015/10/blog-post_19.html

 私や共著者以外の関係のない方々に、その方々には答えようのない批判や文句までを言う方たちが続出してきたようなのです。しかし、私どもへの文句を言われた関係のない方々が、「そんなことは津田ら著者に直接連絡してくれ」とお願いしても、私ども著者に連絡するのではなく、再度、関係のない方々に連絡するそうなのです。
 ちなみに、ブログ以外に前回の回答集の中に入れさせていただいたのは、そのような方々とは別で、何らかの回答をした方が良いと思われるある程度学術的な指摘をしてくださった先生方のみです。ご覧になればお分かりのように、単なる文句ではなく、それなりの指摘や批判です。
 そのような指摘に関しましては、このような回答形式で明示をさせていただくと、ある程度の質があれば蓄積して回答する私どもの姿勢だけでも示せます(ただ前回お願いしましたように『Epidemiology』に Letters として投稿していただく方が私の英語…

岡山大学チーム原著論文に対する医師らの指摘・批判への、津田敏秀氏による回答集

以下は、ある日本人医師たちから、岡山大学チームによる『Epidemiology』誌掲載の原著論文「Thyroid Cancer Detection by Ultrasound Among Residents Ages 18 Years and Younger in Fukushima, Japan: 2011 to 2014 」(日本語タイトル:2011年から2014年の間に福島県の18歳以下の県民から超音波エコーにより検出された甲状腺がん)に関して、津田氏に寄せられた批判や意見と、それに対する津田氏の回答集である。掲載は、津田氏の許可を得ている。

論文へのリンクはこちら
この回答集のPDFは、以下に埋め込んであるが、こちらからダウンロード可能。
論文発表時の記者会見関連記事はこちら




2015年10月19日                            

 日本人医師の方々から、論文に関して貴重なご指摘・ご批判を受け取りましたので、お答えさせていただきます。

 この回答集でお答えしたご指摘・ご批判は、太字で表示し、通し番号をつけさせていただきました。なお、回答中で使われている「EBM」とは、Evidence Based Medicine の略で、日本語では「科学的根拠に基づいた医学」とされます。EBMは、もともと Science Based Medicine というネーミングだったようです。この場合、科学的根拠とは、人を観察し人単位で分析された結果もしくはそれを記載した論文ということになります。つまり疫学方法論で分析された結果もしくはそれを記載した論文です。

 まず最初に、医師によるブログ記事2つを取り上げさせていただきます。


ブログ記事1(リンク:http://drmagician.exblog.jp/23772300/) 
1. この論文を見ると,まずethicsに関する記載がありませんのでこの時点で論外で,「はたして倫理委員会をちゃんと通して論文を書いたのだろうか?」という疑問があります(Epidemiology誌では記載が求められるはずですが査読でなぜひっかからなかったんでしょうね?).
回答:論文中に書いてありますので、ご確認ください。今日、医学論文は研究倫理に関する記述がなければなかなか掲載してもらえません。論文中に書いてある論文も結構あります。
2. そ…