スキップしてメイン コンテンツに移動

隠されていた情報:ハンフォードでの何十年にもわたる欺瞞


”Decades of deception at Hanford”(「ハンフォードでの何十年にもわたる欺瞞」)は、ワシントン州シアトルのTV局、KING5のサイトに、2014年6月23日に掲載されたインベスティゲティブ・リポートである。一読してその重要性に感銘を受け、ただちに和訳を開始した。しかし、諸事情により、半分以上終えた所で中断したままになっていた。数日前に、残りの和訳をやってしまおうと、元記事に引用されていた関連文書を確認しに行ったら、記事そのものが削除されていた。(URLはこれである⇒http://www.king5.com/news/investigators/Decades-of-deception-at-Hanford-264328171.html)(アーカイヴはこちら

幸い、記事本文はコピーしてあったが、非常に残念なことに、引用されていた重要関連文書はダウンロードしておらず、記事が転載されているサイトの記事内のリンクもデッドリンクとなっていた。

ニュース記事の筆者は、KING5のチーフ・インベスティゲティブ・リポーターSusannah Frame氏である。




彼女がこの記事内容をリポートしているニュース動画(英語)はこちらである。



ここでは、削除されている記事の完全和訳を、この動画内の該当部分のスクリーンショットと共に紹介する。


***


ハンフォードでの何十年にもわたる欺瞞



ハンフォードサイトで毒性化学物質、あるいは放射性物質に曝露される作業員は、サイト内の診療所で直ちに処置を受けることができ、またそこでは通常の健診を受ける事もできる。この診療所は、これまで様々な民間会社によって運営されてきたが、全米で最も汚染されているサイトをクリーンアップする責任を持つ全作業員にとって、重要なリソースである。



しかし、「KING5 インベスティゲーター」によると、診療所を受診する作業員は、必ずしも毒性化学物質の影響についての真実を知らされるわけではないことが分かった。これは、1940年代のプルトニウム製造の初期の頃にさかのぼる欺瞞のパターンである。

ハンフォードで24年間勤務したベテランであるドン・スラウ氏のケースは、エネルギー省から雇われている医療供給者がどのようにして作業員から重要な情報を隠してきたか、という例である。



スラウ氏は健康物理学技術者で組合の安全委員でもあるが、作業中に2度、有毒な蒸気の曝露を受けたことがある。スラウ氏は、1996年に起こった最初の曝露の時には、立っていることもできなかったと述べた。

「要するに、化学物質に圧倒されたのです。そして、同僚がその場から引きずって移動させてくれたのを覚えています」とスラウ氏は最近のインタビューで述べた。


スラウ氏は、サイト内の診療所に連れて行かれたが、診療所のスタッフは、後に、その曝露による長期的な影響はなかったと説明した。

「この蒸気の吸入により私の肺にいくつかの点ができたと決定はされましたが、その当時は、大丈夫だと言われました」とスラウ氏は述べた。


しかし、スラウ氏は大丈夫ではなかった。吸入した化学物質のせいで、反応性気道疾患という不治の肺の病気になっていた。現在、スラウ氏の肺機能は50%しか残されておらず、就寝時には酸素吸入が必要である。



「酸素ボンベなしにはどこにも行けません」とスラウ氏は述べた。

スラウ氏は、ずっと後まで、自分が曝露を受けた蒸気が、体に永久的な損傷を与えたことを知らなかった。しかし、サイト内の診療所は知っていたが、その事を10年間隠していた。

スラウ氏は、シアトルのハーバービュー・メディカルセンターの医師が自分の医療カルテを見直すまで、自分の病状がどれほど酷いのかを知らなかった。


スラウ氏のケースに関する2005年のカルテ記述で、当時ハーバービューの職業・環境医学部の部長だったジョーダン・ファイヤーストーン医師は、「当時(1996年)、彼(スラウ氏)は、最初の曝露の後の(肺への)残存影響について認識していなかった。しかし、後述のように、後の職業検診時に、ハンフォードサイトのメディカルディレクターによって、(業務に戻るための)呼吸器機能のメディカルクリアランス(訳註:医師による健康状態の確認)のための肺活量測定(呼吸検査)が行われた所、ちょうどその頃に、彼の肺活量測定値が悪化した(肺疾患を示した)ことが明らかである。」

「私は、この医師らが責務を果たさなかったと感じます。(医師としての)誓いを破ったのです」とスラウ氏は述べた。「慢性の肺感染症や気管支炎を患っていた間ずっと、何が起こっているのか全然分かりませんでした。裏切られた気持ちです。これは冗談のようです。でたらめです」

作業員はまだ危険にさらされている

今年の3月中旬以来、37人のハンフォード作業員が、核廃棄物入りの巨大タンクから漏れた化学物質の蒸気に曝露された後で、サイト内の診療所、あるいはリッチランド市の最寄りの病院へ送られた。



政府の調査では、タンク内には、第二次世界大戦と冷戦時代のプルトニウム生産という汚染業務の残物である、約2,000の有害化学物質が見つかっている。




ハンフォードサイトの原子炉のウラン燃料棒を溶かすために苛性化学物質が使われ、そして少量のプルトニウムが溶かされた燃料から取り除かれたのである。




このプロセスから生じた廃棄物は、177のタンクに入れられた。それから何十年も経った今、この廃棄物は極めて有毒なままであり、技術が発達して永久廃棄が可能になるまで、有毒でありつづけるだろう。この廃棄物は、放射性崩壊による放射能を帯び、不規則な間隔で有毒な蒸気を発生する。特別なフィルターのおかげで放射能はタンクから漏れないが、有毒ガスが漏れ、何にも止められずことなく、タンクファームの周囲の大気中に拡散するのである。


情報は最初から隠されていた

プルトニウム生産プロセスによる危険は最初から知られていた。しかし、文書によると、連邦当局は、作業員を心配させて生産を遅らせることへの懸念から、安全リスクを過小評価するように勧められた。

1948年に書かれたとあるメモでは、もしも作業員らが自分らの安全を「疑うかなりの理由」があると知ったら、「士気を打ち砕くような影響」があるかもしれないと言う事で、ある放射線影響の研究を秘密にすることを主任らに促していた。もしも研究が公表されたら、従業者らが「特別危険手当」を要求し、全作業員の間の恐怖が政府に対しての「苦情の数を増やす」可能性があるとメモに述べられていた。

「士気を打ち砕くような影響」

「疑うかなりの理由」

「特別危険手当」「苦情の数を増やす」

1947年に書かれたまた別のメモは、主任らが健康リスクについての文書を改ざんすることを推奨していた。(メモの)著者は、政府に対しての「苦情を奨励する」可能性を持つ情報は、「言い回しを変えるか削除すべきである」と述べていた。


もっと最近では、ハンフォードサイトでの毒性物質への少量の曝露でさえも癌や他のを引き起こす可能性があると警告した1997年の科学研究論文が、政府によって隠されていた。その研究論文は、米国エネルギー省下請け業者によって運営されている、リッチランド市パシフィック・ノースウェスト国立研究所の科学者らによって執筆されたものだった。

放射性廃棄物政策に関する元大統領顧問のボブ・アルバレズ氏は、この1997年の研究論文は、自分の元に届けられ、そして作業員らと共有されるべきだったと述べた。1997年当時、アルバレズ氏は、エネルギー省本部のシニア職員としてハンフォード問題に直接取り組んでいた。


「我々は、この研究論文について何も知りませんでした。隠されていたのです。」とアルバレズ氏は述べた。「(前略)これらの有毒な蒸気への曝露の結果、作業員らの潜在的な疾患のリスクが驚くほど高くなると述べている研究論文があるということは、今やっていることをすべてを中断してこの問題を直さなければいけない、という本当に強いシグナルのようなものです。」

エネルギー省は、研究結果が公表されなかった理由は、他の科学者が研究に欠点があることを見つけたからだと述べている。「報告書の利点を考えたとしても、概念と過程における重大なエラーがあるため、その価値が疑わしくなってしまう。」と、メルビン・ファースト氏は、ハーバード大公衆衛生学部のレターヘッドに記述した。KINGは、ファースト氏が随分前にハーバード大から退職しており、パネルの他のメンバーの中でもハーバード大と関連を持つ人はいなかったことを突き止めた。また、ファースト氏は、タバコ業界での雇われ人としても知られており、受動喫煙が無害であるという記事を書いたこともある。

作業員らは、化学物質の測定値が高いことを知らされていなかった

長年の間、ハンフォードの放射性廃棄物の処理を任された下請業者は、作業員らに、化学物質の蒸気が突然放出されるのは避けられないが、放出された蒸気に含まれている毒性物質はごくわずかであり、「許容曝露限度よりずっと少ない」と言って安心させてきた。



しかし、KING5は、2005年から2009年の蒸気の測定データを入手したが、そこには、蒸気内の危険な化学物質の濃度が曝露限度よりずっと高いことが示されていた。


その期間中、脳損傷の原因となる可能性を持つ毒性金属である水銀は、

* 2009年に、作業曝露限度を473%超えていた。 
* 2006年に、作業曝露限度を342%超えていた。
* 2006年に、作業曝露限度を223%超えていた。

肺への損傷と緑内障の原因となる可能性を持つアンモニアは、

* 2005年に、作業曝露限度を1,856%超えていた。
* 2005年に、作業曝露限度を1,595%超えていた。 
* 2005年に、作業曝露限度を643%超えていた。

そして、発癌物質であることが知られているジメチルニトロソアミンは、

* 2005年に、作業曝露限度を3,731%超えていた。
* 2006年に、作業曝露限度を4,880%超えていた。 
* 2006年に、作業曝露限度を13,866%超えていた。

ハンフォード・サイトで26年間勤務した後に2013年に退職したマイク・ゲフリー氏は、このような数値は見た事ない、と述べた。




「なんてこった!私は、この測定日に、これらのタンクファームで作業をしていました。ここに出て来るタンクファームの測定日に、ひとつのこらず、そのタンクファームで作業をしていました。」と驚愕した。「『一体誰が、この情報を手にしていたのに作業員から隠していたのか?』と、ただひたすら考えています。」とゲフリーは述べた。



「誰かがこの情報を見て、作業員に知らせないでおこうと決めました。その人は、牢屋にぶちこまれるべきです。いいですか?作業員には話さないでおこうと決めた人物は、文字通り、犯罪者として裁かれるべきです。」とゲフリ氏ーは述べた。



政府からの返答

月曜日の午後、エネルギー省のメディア担当者が、KING 5 に、測定値について、そして測定値が作業員と共有されなかった事実についての文書を送って来た。




「KINGがエネルギー省への質問内で引用した統計は、作業員への曝露の可能性を持つレベルを表しているのではなく、タンクのヘッドスペースや排気筒内のように、作業員にはアクセスできないエリア内でのレベルである。このエリアに近接して作業が行われる場合、事前に、曝露の可能性を低減するための詳細な計画が立てられ、作業員の防護のために個人防護装備一式の使用が考慮される。

2005年以降、59,700以上の個人の検体および、作業員が実際に曝露を受ける可能性があるエリアの検体が採取されてきたが、作業曝露限度(OELs)を超えたものはない。この検体採取プロセスは、米国内で適用される業界の標準と同じものである。さらに、タンクファームの作業曝露限度は、学術界と政府の専門委員会が行った、詳細な毒性学研究に基づいている。」

しかし、長年の間ハンフォードで作業に従事してきて、サイトでの大気サンプリングについて何十年もの専門的知識を持つ人物は、実際、その測定値は作業員へのリスクを示している、と述べた。

「『ソース』内でこのような測定値が存在すること自体、これらの同様の化学物質が、作業員が呼吸するエリアに存在する絶対的な可能性があるということを意味する。このレベルが作業曝露限度より少ないとエネ省が言うのは間違ってはいないが、一度の検体採取で測定された数値が、最悪のシナリオを代表すると言う仮定はできない。別の検体採取で、これと同じ化学物質や蒸気でもっと高い数値が見られるかもしれない。」と、その専門家は述べたが、仕返しを恐れて匿名を希望した。

ドン・スラウ氏は、作業から肺へのダメージを受けたにも関わらず、まだハンフォードで雇用されているが、タンクファームで作業していた際、化学物質のガスの危険性について聞いた覚えがないと言う。




スラウ氏の妻ヴァーナさんは、スラウ氏のような作業員が、危険の可能性を知らされずに作業場に送り出されていたのは不公正である、と言う。



「何も知らない人を作業場に送り出すのは不公正です。」とヴァーナさんは述べた。「そのようなエリアで作業をすることがどれほど危険なのかと言う情報を入手する必要があります。」

ヴァーナ・スラウさんは、「ハンフォード関係者は、作業員が人間であることを考える必要があります。そして、作業員にどんな影響を与えているのかを考える必要があります。お金でなく、人間のことを考える必用があります。」と付け加えた。

ドン・スラウ氏は、ハンフォードでの作業による体調の悪化後、他の作業員の代弁者となった。スラウは、現在、サイトの安全委員である。「他の人が自分のような経験をするのを見たくないですが、しかし、残念なことに、もっと多くの人の体調が悪くなってきています」とスラウ氏は述べた。



コメント

このブログの人気の投稿

ランセット・ヘマトロジー誌に掲載された論文「放射線モニタリングを受けた作業者(INWORKS)における電離放射線と白血病およびリンパ腫の死亡リスク:国際コホート研究」の部分和訳とフェアリー氏解説

低線量の放射線でも白血病リスクが上昇する、と最近話題になっている新研究がある。英医学誌「ランセット・ヘマトロジー」に掲載された、"Ionising radiation and risk of death from leukaemia and lymphoma in radiation-monitored workers (INWORKS): an international cohort study"(邦題仮訳「放射線モニタリングを受けた作業者(INWORKS)における電離放射線と白血病およびリンパ腫の死亡リスク:国際コホート研究」)である。

この論文についてのツイートまとめはこちら関連新聞記事のツイートまとめはこちら
2015年7月2日掲載の共同通信の記事「放射線低線量でも白血病リスク 欧米作業員30万人を疫学調査」
ここでは、この論文の一部(「要旨」と「研究のコンテクスト」)および、英国のイアン・フェアリー氏による解説の和訳を記す。
「放射線モニタリングを受けた作業者(INWORKS)における電離放射線と白血病およびリンパ腫の死亡リスク:国際コホート研究」

要旨
背景:職業的、環境的、および診断医療の状況下で典型的に見られるような、間欠的あるいは長期におよぶ低線量放射線被ばくにおける白血病とリンパ腫のリスクには、大きな不確実性がある。われわれは、長期にわたる低線量放射線被ばくと、フランス、英国と米国で雇用されている放射線モニタリングを受けた成人における、白血病、リンパ腫と多発性骨髄腫の死亡率との間の関連性を定量化した。
方法:フランスの原子力・新エネルギー庁、 アレヴァ原子燃料部門、またはフランス電力会社、米国のエネルギー省と防衛省、そして英国の放射線業務従事者登録に含まれている原子力産業作業者で、最低1年間雇用され、被ばく線量の個人モニタリングをされた308,297人の作業者のコホートを構築した。コホートは、計8,220,000人・年に達するまで追跡された。白血病、リンパ腫と多発性骨髄腫による死亡者を確認した。ポアソン回帰を用いて、骨髄吸収線量推計値と白血病とリンパ腫の死亡率との間の関連性を定量化した。
結果:線量は非常に低い率で累積した(平均 年間 1.1 mGy, SD 2〜6)。白血病(慢性リンパ性白血病を除く)による死亡率の過剰相対リスクは1 G…

岡山大学チーム原著論文に対する医師らの指摘・批判への、津田敏秀氏による回答集

以下は、ある日本人医師たちから、岡山大学チームによる『Epidemiology』誌掲載の原著論文「Thyroid Cancer Detection by Ultrasound Among Residents Ages 18 Years and Younger in Fukushima, Japan: 2011 to 2014 」(日本語タイトル:2011年から2014年の間に福島県の18歳以下の県民から超音波エコーにより検出された甲状腺がん)に関して、津田氏に寄せられた批判や意見と、それに対する津田氏の回答集である。掲載は、津田氏の許可を得ている。

論文へのリンクはこちら
この回答集のPDFは、以下に埋め込んであるが、こちらからダウンロード可能。
論文発表時の記者会見関連記事はこちら




2015年10月19日                            

 日本人医師の方々から、論文に関して貴重なご指摘・ご批判を受け取りましたので、お答えさせていただきます。

 この回答集でお答えしたご指摘・ご批判は、太字で表示し、通し番号をつけさせていただきました。なお、回答中で使われている「EBM」とは、Evidence Based Medicine の略で、日本語では「科学的根拠に基づいた医学」とされます。EBMは、もともと Science Based Medicine というネーミングだったようです。この場合、科学的根拠とは、人を観察し人単位で分析された結果もしくはそれを記載した論文ということになります。つまり疫学方法論で分析された結果もしくはそれを記載した論文です。

 まず最初に、医師によるブログ記事2つを取り上げさせていただきます。


ブログ記事1(リンク:http://drmagician.exblog.jp/23772300/) 
1. この論文を見ると,まずethicsに関する記載がありませんのでこの時点で論外で,「はたして倫理委員会をちゃんと通して論文を書いたのだろうか?」という疑問があります(Epidemiology誌では記載が求められるはずですが査読でなぜひっかからなかったんでしょうね?).
回答:論文中に書いてありますので、ご確認ください。今日、医学論文は研究倫理に関する記述がなければなかなか掲載してもらえません。論文中に書いてある論文も結構あります。
2. そ…

和訳と考察 長崎大学&ベラルーシ研究発表「放射線と甲状腺がんリスク:福島とチェルノブイリ」

The Lancet: Diabetes and Endocrinology (「ランセット:糖尿病と内分泌学」)2016年8月号に、長崎大学(高村昇、折田真紀子、ウラジミール・サエンコ、山下俊一、長瀧重信)とベラルーシ(ユーリ・デミチク)の共同研究が、コレスポンデンスとして掲載された。これは、2016年8月4日に福島民報に掲載された記事で言及されている論文だと思われる。以下は非公式和訳である。



放射線と甲状腺がんリスク:福島とチェルノブイリ
ウクライナのチェルノブイリ原子力発電所事故から30年、そして福島第一原子力発電所での危機から5年が過ぎた。チェルノブイリ災害後、ベラルーシ、ロシアとウクライナにおいて、事故時に放出された放射性ヨウ素に被ばくした小児と思春期の青年らの間で甲状腺がんのかなりの増加が報告された。このチェルノブイリでの経験に基づいて、福島県民健康調査の枠組み内で甲状腺超音波検査が行われている。この検査は福島事故当時18歳未満(原文ママ:実際には事故当時18歳「以下」)だった住民すべて(およそ36万人)が対象である。2011年10月から2014年3月に実施されたスクリーニングの1巡目では、受診者 300,476人中113人が、甲状腺悪性腫瘍確定または疑いとされた。
福島事故後の甲状腺がんの発見は、現代的で精度の高い超音波技術によるスクリーニングの影響かもしれない。この問題を調査するために、福島での放射線被ばくと甲状腺がんの間の因果関係は、特にチェルノブイリからの既存の証拠に対して注意深く評価されるべきである。
チェルノブイリでは、被ばくした小児の甲状腺被ばく線量平均値は、ベラルーシで 560 mSv[SD 1180]、ウクライナで 770 mSv[260]と推計された。一方、事故後に福島の1000人以上の 0〜14歳の小児の 99%で報告された甲状腺被ばく線量は、15 mSv未満だった。これらの低いレベルでは、福島での被ばく線量が、被ばくの可能性から 4年以内に検出可能な甲状腺がんの過剰例を起こした可能性は低い。
もうひとつの考慮すべき重要点は、2つの事故後の患者の年齢である。ベラルーシでは、事故前に設置されたがん登録によると、事故後最初の4年間(1986〜1989年)に被ばく時に0〜15歳だった患者で25例の甲状腺がんの手術例が報告された。この数字は、199…